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2010年05月07日

数   寄

 





数 寄 の 文 化 






数 を 寄せる  と書いて「 数 寄 」と読む。

ちょうど15年前、今年の4月から静岡文芸大学の学長に就任され
ました熊倉功夫先生のご講演でのお話でした。

日本人の美意識として、元来「数寄」を非常に好んできた文化が
あります。
「数寄」の意味はもともと「好き」という同意語から来ています。
その後、茶の湯で好まれて使われ、建物では、「数寄屋 = 茶室」
人では、「数寄者 = 茶人」 物では、「数寄道具 = 茶道具」を表
す言葉として、茶の湯の世界でも多く使われてきました。
「 世界一美しい建造物 」と、かの ブルーノ・タウト も絶賛した
ご存知 桂離宮も、実は長年もの間、何度も何度も増改築を重ね、
寄せて寄せて造り上げられてきた、日本を代表する建造物です。
このように、数寄屋造りは日本の美意識と風土に合わせ、増改築
が容易に出来るような、柱と土壁を基本とした簡素で機能性を兼
ね備えた素晴らしい構造になっています。
そして、更に日本人の美意識への深さは外観だけではおさまらず、
内部には、更に深い思いと美感が込められています。
床柱や中柱、他の部屋の柱の一本一本にもこだわりながら、それ
に合わせた土壁、建具、床........ そして、引手、釘隠し、和紙など
の細かい装飾まで、深く追究された美意識は、村田珠光から利休、
宗旦への流れをくむ、日本の精神性を深く取入れた茶の湯の文化
があってこそ生まれてきた日本独自の美意識です。
このように、世界的にもレベルの高い「数を寄せて成立する」と
いう日本独自の美意識は、「数寄」の文化から成り立っています。




数   寄
(Katsura Imperial Villa.jpg/Photo by Wiiii)










数 寄 者




数寄とは、もともと「唐物数寄」、要するに「茶道具数寄」
から来ていると言われています。
茶の湯に熱心でお道具好きを称し、数寄者と呼んだようです。
桃山時代では、町衆。近代数寄者としては、財界人であった
益田鈍翁(孝)、根津青山(嘉一郎)、小林逸翁(一三)等、
多くの茶の湯にかかわる数寄者達が建物はもとより、お道具
といわれる お茶碗、水差し、棗、掛軸、そして、花器に合わ
せたお花など....季節をも配慮した空間の取り合わに、日本の
美の感覚を磨き、人を招いてはお茶会を開きました。

実は、数寄屋の空間創りは精神性はもちろん、このお道具を
基本とした考えのもとで工夫され発達してきたものなのです。

「 建 物 → 空 間 → お道具 」 の発想ではなく
「 お道具 → 空 間 → 建 物 」 の発想が基本にあります。

お道具(お茶碗)は元来、建物以上に大切にされた貴重な物
だったからです。そのお道具を季節に合わせ、飾り、使う為
の空間造りをおこない、今の数寄屋(茶室)が生まれました。

総てにおいて、その前(根底)には精神性がありますが.......。
モノの精神性....
なくなってしまったのは、現代社会だけでしょうか。










数   寄
黄瀬戸 / 原憲司 作)























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